顔彩 メーカーごとの比較(吉祥、呉竹、上羽絵惣、ナカガワ胡粉)

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このサイトにお越しいただく方の検索ワードで一番多いのが、「顔彩 吉祥 呉竹 ちがい」というものです。ですがそのことについて書いた記事がなかったので、今回そのちがいをレビューしたいと思います!

吉祥と呉竹

検索ワードでは吉祥と呉竹が多いのですが、せっかくなので上羽絵惣とナカガワ胡粉も一緒に比較してみます。

他にも、墨運堂、あかしや、ホルベインなども顔彩を出していますが、今回はバラで買うことができた顔彩のメーカーに絞りました。

吉祥と呉竹のバラの顔彩は世界堂のオンラインストアで購入できます。上羽絵惣とナカガワ胡粉と吉祥は画箋堂のオンラインストア(マテリエ)で購入できます。オンラインストアでなくても、画材屋さんでもバラで売ってたりもします。

顔彩とはなんぞやということは↓に書いています。

発色の違い

12色セットなどで比較できれば1番いいんですが、全部買っても一人では使い切れないので3色ピックアップして比較します。

比較する色は、メーカーによって発色が異なっているものを選んでいます。(群青や黄土などはどこのメーカーで買っても同じような色ですので、違いがわかりにくいのです。)

白緑(びゃくろく)

明るい緑色は、緑色(or青+黄色)の顔料と白の顔料を混ぜて作られているので、メーカーごとにその混ぜ方の配合が違っています。同じ名前でも色がぜんぜん違います。

どれも個性的です。

吉祥は結構黄色っぽく、「白緑???なのか???」という感じですが、使いやすい色ではあります。吉祥は「花白緑」という色も出していて、黄色っぽい白緑と、青っぽい花白緑というふうに分けているようですね。

呉竹はかなり青みが強いです。吉祥の「花白緑」と似ています。

上羽絵惣は発色が弱いです。ミルキーな感じでかわいい色ですが、ちょっと粒状感があります。

ナカガワ胡粉はさらに発色が弱く、やさし〜い色合いです。

比較するためにホルベインのコンポーズグリーンも載せてみました。

白緑という色は、岩絵具で言うと、緑青(孔雀石:マラカイト)という色のとても明るい色のことをさします。岩絵具は砕き方によって色の明るさが変わります。細かくなるほど色が明るく(白っぽく)なります。その細かさごとに番号がつけられていて、そしてその中でも一番細かいものは番号ではなく「白(びゃく)」という風にあらわします。「緑青の白」なので、白緑というわけです。この白緑の色を再現したものが、顔彩の白緑ということになります。

朱は白緑ほどメーカーによる差はありませんが、微妙に色が異なります。

赤み〜黄みの順に並べてみました。

朱は岩絵具だと硫化水銀(水銀+硫黄)から作られている絵の具です。

Wikipediaによると、もとは硫化水銀ではなく「辰砂(シナバー)」という岩の色のことのようです。「朱色とは元来は天然赤色顔料辰砂の色であり、色名としての朱色は本来この色をさす。しかし、後に硫黄と水銀から人工顔料の銀朱(バーミリオン)が作られたため、天然顔料としての朱の色であることを強調する場合には真朱(しんしゅ)・本朱(ほんしゅ)という。」(Wikipedia)

朱色はすごく歴史が古くて、古代日本でも装飾などに用いられてきた色です。この色を再現したのが朱という顔彩です。岩絵具の朱には水銀が含まれていますが、顔彩は顔料から作られているので、おそらくそうしたものは入っていないと思います(が、わかりません)。

藍はメーカーによって色が結構ちがいます。かなり暗く黒に近いものもあれば、青っぽいものもあります。ここまでちがうと作品にも影響しそうなので、しっかり色見本を見てから買った方がよさそうですね。

私はインディゴ系の暗い青がすごく好きなので、似たような色でもどれか一つを選べと言われても選べません(^o^)

「藍」は、岩ではなく藍という植物から作られる色です。藍染の藍です。天然の藍から作られた絵の具というものも存在しますので、顔彩の「藍」が天然の藍から作られたのか、顔料から作られたのかははっきりとはわかりません。しかし、天然の藍を使っているということは「売り」になるので、あえてそう表記されていないことを考えるとおそらく顔料を混色して作っているんだと思います。(気軽に天然の藍の絵の具を使ってみたい方は、マイメリブルーのインディゴをどうぞ。気軽でなくてもいいという方はペースト状の藍もありますのでそちらもどうぞ。)

メーカーごとの比較(作例)

1番鮮やかなのは呉竹です。どの色もはっきりと発色しています。

上羽絵惣とナカガワ胡粉は白緑については発色が弱いですが、他の色は特にそんなこともありませんでした。

それぞれのメーカーの3色で色を塗ってみました。(この3色を使える絵を考えたときに柿しか思い浮かばなかったので柿にしましたが、深い意味はありません。この3色にベストのものだったかというと微妙ではあります笑)

やはり呉竹は発色がよく、力強さを感じます。

上羽絵惣とナカガワは、白緑が独特の色で絶妙にいい感じの色にできます。

質感の違い

絵の具を使うときに気になるポイントとしては、やはり溶けやすさではないでしょうか。いくらきれいな絵の具でも、溶けにくくカチカチでは使い勝手が悪く、そのうち使わなくなってしまったりします。

この点は、どのメーカーも同じくらいすぐ溶けて使いやすさです。白緑は少し溶けにくさを感じるメーカーもありましたが、ほんの少しだけです。(一度パレットに固めるとガッチガチになる透明水彩とかありますので、それに比べたら全然溶けにくくなんてないです。)

余談ですが、これはプラスチックのパレットの上で乾いた、それぞれのメーカーの「藍」です。

紙の上では質感に大きな違いは見られませんが、右下のナカガワ胡粉の藍だけモケモケした模様ができています。これは、墨運堂の絵墨と同じ現象です。絵墨と近いのかもしれないですね。

12色セット、24色セット

各メーカーそれぞれ12色セット、18色セットなどの箱入りのセットを出しています。1つずつ揃えていってもいいですが、箱もおしゃれですし、収納もしやすいのでセットもおすすめです。

セットにどの色が入っているかということについては、各メーカーの個性がでています。

セットを買う際に、欲しい色が入っているものを買うというのもよいでしょう。

それぞれ個性豊かなので全部を比較することはできませんが、12色セット、24色セットで色を比較してみました。(色名が同じでも発色が異なることもありますが、今回は全部の色を正確に比べることができないので、同じ色名のものは同じ色として扱います。)

左側が12色セット、右側が24色セットです。箱に入っている順番で並べてあります。

見にくいことこの上ないって感じですが…。色塗ればよかったかな。

顔彩はこんなふうに色の並べ方もメーカーによって個性があり、さらに色相環とも全く異なるという独特の文化があります。なぜ色相環で並べないのか…ご存知だったら教えてください。

まとめ

色の名前が同じでもメーカーによって発色がちがいます。

どのメーカーがいいということはなく、それぞれご自身の好きな色のものを使うのが良いと思います。

ちなみに、呉竹の顔彩だけはAPというマークが表示されています。これはアメリカの組織が作った絵具の安全性を示す基準です。他のメーカーも、「めちゃくちゃ危険な絵具」ということはないでしょうが、安全性などが気になる方は呉竹を選んだら安心できるかもしれません

ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪

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まや【いろいろな色の彩り】
こんにちは!まやです。 ブログやSNSで水彩画材のレビューなどをしています。 今はデジタル絵がだんだん多くなっていますが、 アナログはアナログの良さがあります。 そんなアナログ画材愛を日々つぶやいています。 画材大好きですが、実は絵はそんなに描きません。 絵を描かなくても絵の具を好きでいいのです! 透明水彩のにじみをぼ...
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