こっくりかわいい不透明色
今回はニッカーから出ている「デザイナースカラー」という不透明水彩についてレビューします!(ホルベインのガッシュも少し出てきます)
かわいい!
ニッカー デザイナースカラーとは?
ニッカーは日本の絵の具メーカーです。
瓶に入った「ポスターカラー」が有名で、ジブリなどのアニメの背景に使われています。
瓶入りのポスターカラーは学校の美術室などでも見かけたことがある方が多いかもしれません。
ニッカーのポスターカラーは品質が良いことで有名ですが、「デザイナースカラー」は、そのポスターカラーの中でも、さらに品質のよい顔料だけで作ったものです。
大人かわいい絵の具
デザイナースカラーは絶妙なニュアンスカラーが充実しています。
色もかわいいのですが、その名前がまたかわいい。
カフェ・オ・レやクリームチーズ、レーズンなどおいしそうでかわいい名前がついています。
そしてパッケージもかわいいです。デザイナースカラーのDがレース模様になっていて、すごく凝っています。集めたくなる見た目をしています。
無造作に置いていてもかわいい!
かわいいしか言ってないね
コスパ良し
1本310円(税抜)ですが、20mlも入っています。透明水彩の小さいチューブは5mlなので4倍です。
そもそもポスターカラーとは?
ポスターカラーというのは、水溶性でマットな発色をする絵の具です。鮮やかで画面を均一に塗りやすいため、デザインと相性がいいです。
不透明水彩(ガッシュ)のひとつです。
一般的にはガッシュの廉価版がポスターカラー(安い材料を使っている)ということになるのですが、ニッカーのポスターカラーはガッシュと変わらない品質の良い材料を使っているようなので、ガッシュということで説明を続けます。
ガッシュ(不透明水彩)
ガッシュというと「アクリルガッシュ」がイメージされるかもしれませんが、別物です。
ガッシュというのは、顔料をアラビアゴムで練った不透明な絵の具のことです。
日本語では「不透明水彩」と言います。
(アクリルガッシュは、アラビアゴムではなくアクリル樹脂と顔料を混ぜています。そのため乾くと水に溶けなくなります)
顔料とアラビアゴムで作るものといえば透明水彩のほうが身近かもしれませんが、ガッシュも同じ原料で作られています。
では透明水彩とガッシュはどういう関係なのでしょうか?
同じ原料なら、同じような使い方をしてもいいかも?
透明水彩と不透明水彩
メーカーの解説
ホルベインのサイトに、その説明がしっかりありました。
簡単にいうと、
透明水彩→顔料少なめ、アラビアゴム多め
ガッシュ→顔料多め、アラビアゴム少なめ
という配合の違いが、その絵の具の発色の違いになっているようです。
使い方については、ガッシュは少しの水でクリーム状にして使うと書かれています。
そして絵の具が固まらないように使ったあとはパレットを洗うとも。
これは透明水彩とは全然ちがいます。
ホルベインのサイトの説明を見る限り、同じように使うのはむずかしいように感じます。
ユーザーの解説
さらにこちらのサイトに、画家の方による解説がありました。
ガッシュの説明部分を引用します。
水の加減次第で透明調にもなります。(水を多めにすれば透明調に、水を少なめにすれば不透明調になります)
※不透明の絵の具(ガッシュ)やアクリルガッシュは水を多めにしても完全な透明調にはなりません。因みに、もともとバインダーの複合量が透明水彩絵の具よりも少ないため(顔料成分が多いため)透明水彩絵の具のような表現を行いたくて水を必要以上に加えてしまうと、バインダーの複合量が落ちてしまい固着力が落ちてしまうので注意しましょう。
透明水彩風にはできると書かれています。
完全な透明水彩にはならないとも書かれていますが、完全な透明水彩にしたい場合は透明水彩絵具を使えばいいので、透明調になるだけで十分です。ただし水の量には注意が必要そうですね。
結局、透明水彩と同じように使えるのか
色見本と使用顔料
不透明水彩ですが、透明水彩風に使ったときの色見本です。色名の下に使用顔料を書いています。
クリームチーズやシェルは白い紙の上だとほぼ見えていませんが、白の代わりに混色に使うとおもしろいかなと思っています。
「不透明」といっても、水を多くすれば水彩風に塗れます。ですので、重色も十分可能です。
濃く塗った場合
あまり薄めずに塗ったものです。
濃くぬるとこんな感じで、下の色を隠します。不透明水彩らしさがでています。
水の量や、重ね塗りの回数によってはもっとしっかり隠れます。
透明水彩の技法をやってみた
ウエットインウエットやバックランをやってみました。
左の青は絵の具をかなり薄めたのできれいにぼやっとしています。
右のピンクはすこし絵の具の量が多いので、発色もいいですが境界も出ています。
2色をグラデーションにしました。2色が混じっているところも、きれいにぼやっと混じっている感じです。
透明水彩の「不透明色」との比較
透明水彩の不透明色(PW6入り)を比較
上がデザイナースカラーで、下は透明水彩の不透明色(PW6入り)です。
ブリリアントピンク(不透明色)とベビーピンク(不透明色)でつくりました。
デザイナースカラーと、透明水彩のPW6の入った不透明色は見た目はほぼ同じです。
透明水彩のPW6は入っていない半透明、不透明色との比較
上はデザイナースカラー、下はオリーブグリーン(半透明色)とテールベルト(不透明色)です。
PW6の入った透明水彩に比べると、違いがでました。
透明水彩の方が淡い色合いで、筆の跡や水の溜まりなどの影響を受けています。
デザイナースカラーは透明水彩と比べると発色がはっきりしていてフラットな画面です。
どちらが良いとか悪いとかというわけではなく、それぞれの特徴です。
透明水彩の透明色との比較
上がデザイナースカラーで、下は透明水彩のローズマダー(透明色)とパーマネントバイオレット(透明色)を混色したものです。
こちらも結構ちがいが出ました。
発色はデザイナースカラーの方がはっきりしていて、透明水彩は淡いです。
保管方法
これはとても重要な問題です。
透明水彩ユーザーは基本的には透明水彩をパレットに出して固めて使っていると思います。それができるから透明水彩を使っているという方もいると思います(私です)。
毎回チューブから出して毎回パレットを洗うのはめんどくさいし、出しっぱなしでいつでも手軽に色がぬれるからこそ絵のハードルが下がっています。趣味で描いてる絵なので手軽さがとても重要です。
メーカー的には毎回出して毎回洗ってねということですが、それはこってりしたクリーム状の絵の具を使いたい場合だけなのではないのでしょうか?
はっきりした発色やしっかりした色面などを表現するなら、生のままの絵の具を使う必要があります。ガッシュはそれができるのが売りなので、メーカーは毎度容器から出すことを推奨するのは当然といえば当然です。
しかし、私はうす〜く水で溶いて使おうとしているので、こってりしている必要はありません。アクリル絵の具のようにガッチリ固まってしまうわけではなく、水をつければ溶けるんだから、それならばパレットで固めても問題なかろうぞ。
デザイナースカラーをパレットで固めてみた
固化
問題なかろうと思ったけど、問題あると困るので、とりあえず実験してみました。
こんな感じで普通にパレットに出して固化させました。
いかにも乾燥していますというマットな質感です。
一番左のジェイドグレーは真っ二つに割れています。
いかにも大丈夫じゃなさそうです。
とりあえず、水をつけた筆で溶かしてみます。
見た目に反してスッと溶けます。
3回くらいなでたら溶けました。
これは「乾燥させても簡単に溶ける」と言ってもよいレベルではないでしょうか。(ポッターズピンクとかローズドーレみたいな全然溶けない透明水彩よりも溶けやすいです)
なお、真っ二つに割れているジェイドグレーも、普通に使えました。見た目はやばそうですが、パレットにはしっかりくっついているので取れたりもしませんでした。
ただし、これは固化してからそんなに時間がたっていないので溶けたのかもしれません。年単位で放置したらガチガチになるかもしれませんので、お気をつけください。
剥がれ
たまにポロッとパレットから剥がれるものがあります。
レーズンは完全にパレットから外れていました。
でも大丈夫です。
絵の具を一旦移動させて、こんなふうにパレットに水をつけます。
そして絵の具を戻し、再び乾くまで置いておくと、底の絵の具が溶けて今度はしっかりパレットにくっつきます。
結論:大丈夫そう
結果的には、問題なさそうです。
むしろ、透明水彩風に使うにはこっちの方がやりやすいです。
ただし、ガッシュの本来の使い方であるこってりした塗りはできません。
あと、乾くスピードによってはヒビ割れが生じます。ヒビ割れてもボロボロになるわけではないので、使う分には特に問題はありません。
ニッカー ポスターカラー
似たようなものとして、「ポスターカラー」があります。
こちらもデザイナースカラーと同じように使うことができますが、このように瓶に入っていて容量が多いです。
こちらのブルーグレーは私の推し色です。この色はデザイナースカラーにはない色です。
デザイナースカラー同様、パレットに出して固めても使うことができます。
まとめ
長所
・透明水彩風に水で薄めて使うことで、淡い色合いもだせる。淡いながらも色がしっかり出てくる。
・ムラになりにくい。
・白や黒が混じった色の絶妙な色が神
その一方で…
・油断するとすぐコッテリと色がのってしまう
・アラビアゴムが少ないので、あまりに薄く塗ると色が取れる可能性あり
まとめ
透明水彩とはまた違う良さがある不透明水彩。
コッテリと塗ってはっきりした発色にするのが一般的だけど、薄く透明水彩風に使ってもとてもおもしろい画材だと思いました。
絶妙なニュアンスカラーが充実したり、薄く塗っても発色がしっかりしていたりもするので、透明水彩とはまた違う表現ができる感じです。
透明水彩のムラや発色の淡さが気になる方なども、一度使ってみてもよいかも?
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めちゃくちゃ長くなっちゃいましたが、
ここまで読んでいただきありがとうございました♪