水彩の主線
透明水彩など水を使って色を塗る場合の主線にとって大切なのは、あたりまえですがにじまないということです。
水性ペンは水に溶け出すので、上から水彩で塗るとにじんで汚くなってしまいます。
そこで水彩では顔料インクや水性顔料インク、油性など、水に溶け出さないインクのペンで主線を描くことになります。もちろん鉛筆や色鉛筆でも描けます。
水に溶けないインクのペンとしては、コピックマルチライナーや、ピグマグラフィックなどが代表的なものかと思います。Gペンや丸ペン、ガラスペンなどで使うインクもいろいろあるようです。
みなさんは主線は何を使っていますか?
筆ペンという選択肢
私は主線は筆ペンor墨で描いていますので、どんなものを使っているのか紹介したいと思います。
筆ペン売り場を見たことがある人ならわかると思いますが、一口に筆ペンといってもめちゃくちゃ種類があります。
有名なメーカーである呉竹、ぺんてるなどから何種類も筆ペンが出ていますし、その他にもさまざまなメーカーが筆ペンを販売しています。筆ペンは冠婚葬祭の時に使うだけという方も少なくないとは思いますが、結構奥が深い世界だと思います。さらに、実は透明水彩とも相性がよく、慣れると筆ペン(筆)以外では描けなくなってしまうかもしれないくらい、すごく使い勝手のよい画材なのです。「画材」と言ってしまっていますが、筆ペンが画材なのかはちょっとよくわかりません(笑)メーカーさん的には絵じゃなくて字を書くものとして売っていると思います…たぶん…。
画材過激派だから、ティッシュや爪楊枝も画材だと思ってるよ。
絵に使えればなんでも画材!
実際の筆ペンの色や太さ
私が持っている筆ペンをご紹介します。
このペンたちで書いた字がこちら↓
紙はスケッチブックを使用しています。
上から2つ目のくれ竹の耽美艶(たんびえん)はこの時点でおもいっきりにじんでしまいました。どうやらスケッチブックとの相性は悪いようです。他の5本は紙に描いた時点では特に気になるとことはありません。
一部の筆ペンでは他の描き方もしてみました。
真ん中のぶっといのは、筆を寝かせたときにここまで太い線が描けるということを示しています。
その右の細い先は、ここまで細い線が描けるということを示しています。
一番右の○は、筆でもここまで筆先のコントロールができるということを示しています。
筆できれいな○を描くのってちょっとやりにくいんですが、これらの筆ペンは筆先がほどよく硬いので、○が描けるくらいコントロールしやすいです。
線を描くときにはほどよい筆のコシは重要だよね
筆ペンの主線に透明水彩を塗ってみる
では、このペンで描いたものに透明水彩を塗ってみましょう。
かなりびしょびしょに塗りましたが、どれもにじみはありません。耽美艶は、描いたときにはにじんでいましたが、乾けば水をつけてもまったくにじみません。実はこれらの6本は、すべて「水性顔料インク」というものです。水性顔料インクとは何かというと、簡単に言うと水性インクのように乾くまでは水に溶けるけど、乾くと水にとけなくなる性質をもつものです。油性ペンも水に溶けませんが、ちょっと書きにくかったり、裏写りしたりします。水性顔料インクは油性ペンのように裏に写ったりは(基本的には)しません。
性質の話は専門的でむずかしいけど、
とにかく水性顔料インクは使いやすいってことだよ
何秒で乾くの?
乾くとにじまなくなると言いましたが、いったいどのくらい待てばにじまなくなるのだろうと思って、検証してみました。
よく使う2本で代表してやってみました。筆ペンで線を引いて、それぞれの秒数ごとに透明水彩を塗ってみました。どちらのペンも15秒まではにじんでいますが、30秒でまったくにじまなくなりました。
(10秒よりも15秒の方がにじみが強い感じがしますが、ここにインク溜まりがあったせいです)
普通に絵を描いているときに、主線を引いてから10秒で透明水彩を塗り始めることはあまりないと思いますので、そんなに乾くのを待ったりしなくてもよいと思われます。着彩をしはじめてから、あとから足りないところに気づいて線画を描き足したりした場合には、少し待ってから塗った方がよいでしょう。
30秒たてば、手でこすったりしても大丈夫!
それぞれのペンの詳細
それぞれの筆ペンをもう少し詳細に紹介します。
くれ竹 美文字 完美王 極細
まずは、筆ペンといったらここ、呉竹の商品です。呉竹というメーカーは、表記が「呉竹」だったり「くれ竹」だったり「kuretake」だったりするのですが、この筆ペンは「くれ竹」でした。どう使い分けてるのか知りたいです。
本題にもどります。名前がやけに長いのですが、「完美王」(かんびおう)というシリーズの筆ペンです。公式サイトはこちら
この完美王の特徴は、自動でインクが降りてくることです。筆ペンといういうと普通、水筆のように軸が柔らかく、軸をぎゅっと押すことでインクが筆先の方に降りてくるものが多いと思います。そのときになかなかインクが降りてこず、ぎゅ〜〜〜っと押したら一気にどばっと出てきて紙にボトッと垂れてしまったという経験をしたことがある方もいるかもしれません。
ショックと悲しみが大きいよね
また、描いているときにインクがカスカスになってしまうなども起こります。しかし、この完美王は、それらの問題が解決されており、普通のペンのように永遠にインクが出続けるのです。これは実際に使っていると、非常に便利な機能だということがわかります。
私はこの完美王の極細をいう太さを使っています。他に中字、太字とラインナップがありますが、絵の主線に使うときは極細が使いやすいと思います。色は他に薄墨を朱があります。薄い色で主線を描きたい場合には、薄墨もオススメです。
軸を押さなくてもいいというのは地味だけどありがたい!
くれ竹 完美王 耽美艶
こちらは、正式には「完美王 耽美艶」(かんびおう たんびえん)という名前で、上の完美王のシリーズの1つということになります。公式サイトはこちら
完美王は黒と朱だけでしたが、こちらはカラーインクです。私は「藍」を持っています。完美王と同じく、インクが自動で降りてくる仕組みになっていてとても使いやすいです。色も12色あり、好みの色を選ぶことができます。ただし、こちらは筆先の太さは選べないので、紙によってはインク量が多すぎて私のように描いた時ににじんだりすることもあります。
耽美艶の極細が欲しい〜
Easthill 面相 セピア
奈良県のメーカーの東山工業さんの作っている筆ペンです。東山工業だからEasthillなのかな?ペン軸に鳥獣戯画のカエルとウサギの絵が描いてある「漫画ライナー」などを作っている会社です。公式サイトはこちら
私は「セピア」という色を使っていますが、極細の筆先と、絶妙な茶色がとても使いやすいです。こちらの「ネイビー」と「シャンパンゴールド」も気になっています。
奈良で作られてるってだけでもなんかすごそうって思っちゃう
あかしや 極細毛筆「彩」Thin Line
筆でおなじみのあかしやのものです。公式サイトはこちら
私は「墨色」と「青墨」の2本を持っています。他にも3色あり、それらがまとまった5本セットもあります。このシリーズはインクの色が薄めで、「墨色」が一番黒っぽいのですが、それでもかなりグレーっぽい色になります。主線を目立たせたくない時に便利です。「青墨」は、青といってもそこまで真っ青ではなく、やや青みのグレーという感じです。「墨色」よりもさらに薄い感じの色味です。5色もあるので、使いたい色に合わせられるのもとってもよいです。ただ、軸がちょっと細いのでずっと描いていると手が疲れます。
もうちょい太いと使いやすい
あかしやから出ている似たような商品で、水彩毛筆「彩」というペンもありますが、こちらは透明水彩のように使うことを目的としているペンなので、インクが「水性顔料インク」ではなく「染料インク」です。水で伸ばすことを前提としているので、乾いても水に溶けると思いますのでご注意ください。主線用というより、着彩用ですね。
kuretake 愛ライナー
こちらは完美王などと同じ呉竹の商品です。公式サイトはこちら
愛ライナーという名前だけあって、化粧品のアイライナーのような細い線が描けます。細い線ですが、色がかなりはっきりと出るので、細いながらも存在感のある線が描けます。細かいイラストを描く方にはおすすめです。
公式サイトによると、お米に文字が書けるくらい細いみたい!
最近、呉竹から化粧用のアイライナーが発売されました。紛らわしいですが化粧用は「くれ竹 お化粧筆ペン 目元用」です。実店舗で買う場合は売り場が違う(化粧品コーナーと文具コーナー)ので間違えることはないと思いますが、通販で買う場合はお気をつけください。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪