吉祥 チューブ絵具とは
水彩で絵を描く方には顔彩で同じみの、吉祥さんから発売している絵具です。
顔彩は四角いケースに固められて入っていますが、チューブ絵具はその名の通りですが、チューブに入っています。

チューブは金属ではなくやわらかいプラスチックでできているので、小学生などが使うマット水彩のチューブに似ている質感です。
サイズは5号(15ml)で、ホルベインの透明水彩の大きい方と同じサイズです。
全63色で、価格は定価で440円(税抜)です。
透明水彩は色によって価格が異なりますが、この絵具は全部440円です。
ちょっと高い気がしてしまいますが、ホルベインの透明水彩の3倍の量が入っているのでコスパ的にはそんなに悪くないかな?という感じがします。
吉祥の公式サイトに詳細と使い方の動画が載っています。
日本画用だからハードルが高い?
こちらの商品は、公式サイトによると日本画を手軽に描くために作られたようです。
「日本画描かないし〜」と思ったそこのあなた!
そう!あなたですよ!
この絵具は、日本画を描かない人でも簡単に使えて、なおかつ表現の幅が広がるかもしれないのです。
なんだかテレビショッピングのようになってしまいましたが、
特に、顔彩をすでに使っている方なら日本画のカテゴリーに入っている絵具でも水彩と同じように使えることはご存知かと思います。
日本画用だからと言って、日本画でなければ使えないというわけではないということですね。

イラストにだって使えるよ
水干絵具をもとにした絵具

ちょっと長ったらしいから、飛ばしてもいいよ
日本画で使われる画材はいろいろなものがありますが、主に使われているのは「岩絵具」というものです。
石(岩)を細かく砕いたものを、膠(にかわ。動物のコラーゲン)で紙などにくっつけます。(天然の石だけでなく、ガラスを砕いたものもありますが本題と関係ないのでここでは割愛します)
透明水彩でいうところの、顔料をアラビアゴム(植物樹脂)で紙などにくっつけるようなものです。
その他に、日本画では水干絵具というものもあります。
胡粉という貝の殻を干してカラッカラにしたものや、土などを染めて色の粉にしたものです。
その粉を膠と混ぜて、水で薄めて塗ります。
こちらは岩絵具よりも粒子が細かくて、なめらかに塗ることができます。
岩絵具は砂粒を塗るようなものなので、ムラになりやすかったり、まあ、むずかしいです。
水干絵具は塗り心地は透明水彩とほぼ変わりません。
濃度の調整も水でするので、その点でも透明水彩と同じです。
透明水彩との違いとしては、水干絵具はかなりマットで不透明です。
質感のちがいの他に、水干絵具の大きな特徴として、粉がフレーク状に固まった状態で売られているので、まずフレーク状のものを乳鉢か硬いガラス瓶の底や筆などでゴリゴリと砕いて、それからやっと膠と混ぜる工程になる上に、岩絵具とちがって色が染め付けられているために指がめっちゃ染まるという、めっちゃめんど(略
そういう過程をすべてふっとばして、チューブから出して水で溶けばいいよ!としてくれたのがこの絵具です。
吉祥のチューブ絵具は、この、めんど…な水干絵具をチューブ状にしたものということです。
ただし、まったく同じものではないですし、たくさん使う場合や膠の量を自分で調整したい方はやはり水干絵具を使った方がよいのでしょうけどね。
顔彩は、固まった水彩絵の具という感じです。
材料にアラビアゴムも使われているそうなので、より透明水彩に近いですね。
顔彩と透明水彩の比較はこの記事でしています。
顔彩の方が身近なので、顔彩のチューブというふうに思われるかもしれませんが、チューブ絵具は一応、顔彩とは違うものだということです。
詳しくはわかりませんが、たぶん材料の配合とか違うんでしょうね。

ややこしい話おわり
チューブ絵具はどんな色?
私が持っている18色の色見本です。

塗った感じとしては、水にすっと溶けて塗りやすいですし、ぼかしもきれいにできます。
溶けやすさや発色など、透明水彩とかなり似ています。
前の段落で、水干絵具はマットで不透明だと書きましたが、このチューブ絵具は不透明ではなく、隠蔽力は強くありません。下の色を隠すことはできません。(透明水彩に近いです)
色味は若干渋めで、日本らしい色が取り揃えられています。
透明水彩と比較
私が持っている透明水彩の中から、似たような色を並べてみました。

質感が似ているのがよくわかりますね。
全く同じ色に見えるような色もあります。

拡大してみました。
本藍にも、プルシアンブルー特有のモケモケ?みたいなのが出ていて、同じ顔料なのかな?
他の色については、梅鼠とポッターズピンクが似ているのが嬉しい発見でした。
ポッターズピンクはすごくかわいい色なんだけれど、質感が独特です。
それを活かした塗りもできますが、フラットに塗りたいときは梅鼠を使ってもいいかなと思いました。
青銅はすごく好きな色ですが、同じような色の透明水彩は持っていなかったので、色幅が広がってよかったです。
池の底みたいでめっちゃいいです。
黄草も、サップグリーンよりも渋くて、まさに「草」という感じがします。
緑系は特に日本らしさが出ているというか、日本の植物の色をしている感じがしました。
もうちょっとよく見る

私の推し色で、もうちょっと拡大してみました。
色を並べているだけなのに日本っぽさを感じる気がしますが、思い込みかもしれません(笑)
保管方法

私はこんなふうに、チューブから出して固めて使っています。
たぶんメーカーの推奨の形ではないと思いますが、一応普通に使うことはできます。
ただし、乾くとだいぶ縮むというか、カッサカサになって割れてしまいました。
水をつければすぐに溶けますが、たまにパレットからぽろっと取れてどこかへ行っています。こういった性質は不透明水彩に似ています。
金、銀

顔彩の金や銀と同様、チューブにもあります。

青金はチューブの方がギラギラしていて、顔彩は落ち着きのある金色です。
銀はどちらもギラギラしていますが、チューブの方が若干ギラギラが強いかなという感じです。
チューブ絵具のメタリックカラーはあまり光らないイメージでしたが、これは結構光っていました。
胡粉

「吉祥 チューブ絵具 胡粉 使い方」というキーワードで検索している方が多いようですので、
胡粉が一番使われているのかもしれません。
たしかに普通の胡粉はめんどくさいので、ちょっと使うならこっちのほうがずっと手軽で楽にできます。
使い方はチューブから出して水で溶くだけです。
ただし、隠蔽力は高くないです。
もちろん、水で溶かずにチューブから出したそのままのこってりとした絵の具を画面に塗れば、下の色を隠蔽することができます。(それは透明水彩の白でも同じです)
さらにいうと、本当の胡粉とは結構違います。
胡粉は塗ったときよりも乾いたときのほうが白くなりますが、このチューブの胡粉は塗ったときよりも乾いたときの方が色が薄いです。そういう意味でも水彩に近いです。
ですので、胡粉の代わりになるかというと正直微妙だと思います。「胡粉」という色名がついていますが、白い絵の具として捉えた方がいいかなという感じ。
ですが!「胡粉の代わりがほしいわけじゃなくて、白い絵の具がほしいんだ!」という方には合っていると思いますし、他の絵の具に混ぜて白緑や白群のような色を作るのには重宝しますので、決して必要ない色というわけではありません。
補足ですが、隠蔽力が高くて、簡単な白い絵の具が使いたいという場合は不透明水彩(ガッシュ)の白を使うという手があります(ホルベインのガッシュやニッカーのポスターカラー、デザイナースカラーなど)。ガッシュと言っても、「アクリルガッシュ」は全く別物ですので注意してください。
まとめ
日本画用の簡易絵具として売られていますが、透明水彩で絵を描く方でも、普段どおりのやり方で簡単に使うことができます。
透明水彩とは違う色もあるので、一度チェックしてみてもいいかもしれません。
私はバラで買っていますが、セットも何パターンかあります。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました♪



